THE インタビュー

第三回 「在宅で活躍を続ける医師・・・」

第三回のTHE インタビューは医療法人 西裕会 兼山整形外科医院 理事長 兼山 敦氏です。

同氏は昭和42年3月広島大学医学部卒業後、昭和43年4月整形外科学教室へ入局。

昭和49年より広島市民病院整形外科へ赴任し、昭和54年西区南観音にて開業されました。

平成10年より6年間 広島市西区の医師会長に就任。就任期間中に医師会の中に介護保険等検討委員会を

立ち上げ、行政と連携して西区の介護保険の運営がスムーズになされるよう尽力されました。

現在もケアマネジャーとの連携・地域包括ケアシステムへの積極的な参加などを進めておられます。

※地域包括ケアシステムとは、地域住民に対し、保健サービス(健康づくり)、医療サービス及び在宅ケア、

リハビリテーション等の介護を含む福祉サービスを、関係者が連携、協力して、地域住民のニーズに応じて

一体的、体系的に提供する仕組みです。すなわち、ソフト(事業)面では、その地域にある保健、医療、福祉、介護の

関係者が連携してサービスを提供するものであり、ハード面では、そのために必要な施設が整備され、地域の保健、

医療、福祉、介護の資源が連携、統合されて運営されていることです。

地域包括医療ケアシステムの例

※全国国民健康保険診療施設協議会HPより抜粋

 

☆通所リハビリテーション(デイケア)を始めたきっかけは?

 

 昭和54年より18床の有床診療所として開業して参りました。たび重なる診療報酬の改定(引下げ)によって

ベッドの維持が困難なり1990年以降無床化波が押寄せてまいりました。CureからCare医療から介護へ

切り換えが進んで来たのです。

 少子高齢化もまた急速に進みました。核家族社会では要介護状態となったお年寄りを看る介護力が

ありません。80歳~90歳のお年寄りがその伴侶を看ているとか60歳を超えた子供が80歳~90歳の

親を看ているという老老介護の例が多く見られます。

 これでは困るという事で介護保険制度が始まりました。無床化したスペースとリハビリの知識がお役に

立てるのではないかとデイケア(通所リハビリテーション)を始めることとしました。

 

☆現在は通所介護でもリハビリを実施している事業所も多数ありますが・・・

 

 通所介護(デイサービス)も通所リハビリテーション(デイケア)どちらも活動性の低下した、または意欲の低下

したお年寄りをイキイキと楽しく生活してもらえるようにする事を目的としている訳ですから、通所介護でも

そういうこともどんどんやっていくのは良い事ではないでしょうか。

 むしろ問題は施設基準とか、単位数とか難しいきまりがあって自由ではない事じゃないですかね。

 

☆介護保険制度への医師としての関わり方

 

 介護保険制度は高齢社会にとっては不可欠のものと考えなければならない。老人医療にかかわる

医師としては、高齢者の身体状況を見るだけではなくその人の経歴・家族関係・経済環境など総合的

に判断して関わっていかなければならない。

 ケアマネジャー・民生委員などとの連携は欠かせない。人手が足りない時には、体交、おむつ交換

などの作業もするべきである。

 

☆これからの在宅サービスのあり方について・・・

 

 お年寄りの個人個人の独自性を尊重して個人の望む生活をしていただく事が理想でしょうが、人材とか

経済的な面から理想をそのまま具現することは困難でしょう。グループホーム、施設入所などを取り混ぜて

実施していかねばならないと思います。

 

 理事長先生には貴重な時間を割いていただき感謝申し上げます。

医療と介護は切っても切れない関係である。もちろんこれからも連携の強化を図る必要がある。

我々も介護分野のみならず幅広いネットワーク作りの構築が必要とされる。

産官学連携、地域との連携、専門職との連携等、我々の担う使命は大きいと改めて認識させられた。