THE インタビュー

第二回「これからの経営戦略と求められる人材(財)像」

第二回のTHE インタビューは株式会社M&Cコラボレイション 代表取締役 藤川 泰成氏です。

同氏は経営コンサルタントとして、社会福祉法人立ち上げのスキルを活かし高齢者介護を手掛ける「株会社M&Cコラボレイション」

を平成15年に設立されました。そして「人にやさしい介護を目指して」というコンセプトを旗印に「ディア・レスト」ブランドの介護付有料

老人ホームを可部、三次、福山、岩国に立ち上げられました。

 

      ディア・レスト可部                    ディア・レスト三次

        ディア・レスト福山                       ディア・レスト岩国

同氏は何よりもスタッフのチームワークと自主的な活動を大切にする一方で、自らも率先してダンスやサックスの演奏などを披露し入

居者様を喜ばせておられます。

平成23年1月23日にはネットワークミーティング主催のグランドキャンパス(介護フェア)にシンポジウムのパネリストとして出席して

下さり経営者の視点で「これからの介護業界の可能性について」貴重なお話をいただきました。

そしてフェアの最後にはディア・レスト可部の職員と共に結成した「ディア・レスト可部オーケストラ(通称DKO)」の演奏会を披露され

観客に対してのパフォーマンスでイベントを盛り上げて下さいました。

経営者であられる同氏にこれから迎える超高齢化社会に向けての経営ビジョン、組織作り、求められる人材像について

直撃取材をして参りました。

 

Q、これから迎える超高齢化社会に向けての経営ビジョン、ディア・レストグループの展開は?

 

A、社会保障制度の改正を前提に、超高齢社会を支えていくためには、国や自治体の措置に頼るのではなく、また制度ありき

ではなく、当社のような民間事業者が、地域介護への貢献を使命(社会貢献型企業)として、質の高い介護サービスによる利

用者・家族の顧客満足(CS)と、それを提供するスタッフの従業員満足(ES)・貢献意欲(モラール)の向上により、経営の安定と

発展を目指していくことが大切ですね。

 そのためには、全スタッフが企業理念(経営理念)を羅針盤・バイブルとし「やらされる」のではなく主体的に活動・行動すること

を促し、そして理念の実現のために理想の企業像(経営ビジョン)を掲げ、理想とする組織風土を確立することであると思ってお

ります。

当社の経営ビジョン(理想の企業像)は、組織の活性化による(ツリーモデル)人財を育成する組織風土であり、スタッフの可能性

を最大限に引き出す能力開発(スキル・キャリア)により、コンピテンシーの高い人材を育成する事が、人財化であると・・・・・あくま

でも理想像であり、決して簡単なことではないです。

しかしながら、理念に基づいた理想や夢がなければ、施設や部門、個人が目標を設定できないと思います。「目標なくして成長なし」

とよく言いますよね。目標を達成することで、必ず能力開発となり、組織の活性化やスタッフの自信や成長につながると思います。

  これからの超高齢社会において、介護需要は確実に増えていくでしょう。しかしながら「需要と供給のバランス」だけで事業展開を

するべきではないと考えております。それぞれの地域で上質なサービスを確実にご提供できるように、グループ全体の組織の基盤を

確立する事が第一であり、その中で地域の介護ニーズ(顧客の創造)にお応えできるだけの顧客満足がご提供できるチャンスがあれ

ば新たな事業展開を検討します。

 

Q、これからの組織作りについて教えてください?

 

A、私が最も大切にしていることは、「チームケア(チームワーク)だ」と、スタッフにも外部の方にも、常々言っております。(チームの和を

乱すスタッフは必要ない)  職種・部門を越えて、助け合い協力し合うことが一番大切です。なぜなのか?問いかけるまでもなく、利用

者への最善のケアのためだからです。

従って、私が目指している組織は、フラット型(情報型)、ネットワーク型組織です。基本的に組織はヒエラルキーですが、上位下達がすべて

では、スピーディでスムーズなコミュニケーションはできないし、組織は活性化しません。それではチームケアは成り立たない。チームケアの

基本はコミュニケーション(情報の伝達と交換)です。スタッフ間で情報を共有し、組織内を情報が正確にスピーディに伝わることで、より現場

に近いところで状況に応じた正確な意識決定が行なわれます。

「情報は伝えるでだけでなく、達するが大事」(伝わっていなければ論外)

当社の中間管理職は、職種・部門を超えて組織内のコミュニケーションを効果的に提供できるように、CO職(コミュニケーション オフィサー)と

位置づけ、チームケアの拠点となって欲しいと期待をしております。「頑張れCO職!」

この組織であれば、同時にスタッフに多くの役割を与え、ヤル気を引き出し(モチベーションを高める)個人のスキルを高め、キャリアアップにも

つながり、組織が必ず活性化されると確信しております。

 でも組織論よりも何より一番大切なことは、笑顔や笑いですよね。職場が楽しくなければ仕事はつらいですよね。

(ジョークが最近、オヤジギャクになってきてるかな)

「スタッフにはいつも笑顔でいて欲しい」

 

Q、ネットワークミーティングとしては就業支援としてのイベントをこの秋にも大々的に開催いたします。

  そこで、これからの介護業界に求められる人材像をお教えください? 

 

A、介護業界に求められる人材像、業界としての人材像を語るのは、大変おこがましいですので

あくまでも当社の理想像、また、主観でしかお答えできませんが、「コミュニケーションを大切にし、利用者や組織への高い

貢献意欲(モラール)を持ち、コンピテンシーの高い人材であれば、まさしく社の宝であり、財産(人財)だと思います」

視点は少しずれているかもしれませんが「介護付有料老人ホームは、介護サービスを基本に、住まい、生活の場として、多様

なサービスをご提供するサービス業である。従って利用者本位であることが当たり前である」と、ディア・レスト可部の開業時から

スタッフに言い続けております。

そして、私がサービス業のバイブルとしている書籍がございます。

「ディズニー7つの法則」です。3月の東日本の震災のときに、かの夢の国「東京ディズニーランド」の事が特集で紹介されましたが

危機管理のすごさ、素晴らしさもさることながら、夢の国のキャストの対応に本当に感動いたしました。

キャスト(ディズニーでは従業員をキャストと呼んでます)がそれぞれ自分の判断で、ショップの物品等を安心して避難場所として

すごしていだける様に、様々なケースに発想を転換し創意工夫をした上でゲストに提供していました。

(ほとんどのショップの物品等が空になってました。)

 サービス(顧客満足)を提供するスタッフとして 「CSとESそして、自分の立場で自らできること」 このバランス感覚を養うことが

一番大切であると改めて認識いたしました。

 ディズニー7つの法則の中に「すべての人が、語りかけ、歩み寄る」という法則がございますが、「積極的にフレンドリー」にすべて

の人と接し、この法則を理解し、自然に行動でき、模範となり、CSとESのバランス感覚が優れている人が、もしかしたら求められる

人財像かもしれませんね。

 

 

貴重なお話をいただきました。 「CSとESそして、自分の立場で自らできること」このバランス感覚

を養うこと このバランス感覚が優れている人は介護業界のみならずどんなところにでも通用する

人財となれる気がしますし我々も個々として目指して行かなければならないと感じます。

 

Q、最後になりますが、ネットワークミーティングに一言お願いいたします。

 

A、それでは、せっかくですので一言だけ

ネットワークミーティングは介護をカテゴリーとした同業種の団体ですが、基本的には通所介護を中心に、研修・勉強会を行う事だと

一応、認識しております。

多くの青年の異業種の交流団体がございます。社団法人、財団法人等々と様々ですが、大きな目的は、2つです。

CD(Community Contribution)地域貢献とLD (Leadership Development)リーダシップ開発です。

ネットワークミーティングもそれぞれの事業所の中間管理職の方が多いようですので、CDは当然として、この団体での活動が、LDに

つながると思います。

キャリア形成、キャリア形成と最近よく言いますが、キャリア形成は経験でしか培えないとおもいますよ。それぞれの事業所の将来を

担う方たちばかりですので、活動を通じて、最高のLDにつなげて欲しいですね。一つの目標に向かって、仕事をこえて、何かを犠牲に

し活動を共にした仲間は、一生の財産(友人)になると思います。

 そして、活動に理解をしてくれている上司や同僚に感謝の気持ちを忘れないで下さいね。

(家族の理解をまず最初に得る事が肝心=飲みにケーションも多々あるし!)

笑う門には福来るというが、何よりもリーダーは周囲を明るい気持ちにさせることが大切だ。

情勢がいかに暗くとも、常に周囲を明るい気持ちにさせることができる人間が本当のリーダーだ。

Laugh and be fat. / Fortune comes in by a merry gate. ( 世界共通 )             

                                               By ドラッカー

 

 

経営者の視点で様々な質問に答えていただき、その一つ一つが我々にとっての指針となる

貴重な言葉であった。

スタッフのチームワーク、自主性を重んじ、自らも明るく情熱的に前に進んでおられる同氏の

人柄、振る舞いがそのままスタッフの目標になっているのではないかとも感じた。

 

待っていても人財が来るわけではない。

「人財を育てる人が真の人財」 

 我々にはこれからその力を養う必要があると強く感じさせられた。