「『気が弱い』『空気が読めない』といった一般的な短所を長所に言い換えてください」。
個人のほめる力を検定する試験で、出題された質問である。発案したのは西村貴好氏。
昨年、大阪で「日本ほめる達人協会」を設立した▼飲食店などの接客態度を調査してきた氏は、
欠点のあら探しに偏っていたことを改め、ほめる所を探すことに力点を変えた。社内でほめ合う
会社ほど、従業員の働く意欲が高まり、業績の向上につながるのを見てきた。最近では、子育
て関連の団体からも講演の要請があるという▼心にもない「ほめ言葉」、つまり「お世辞」は、相手
に簡単に見抜かれる。「ほめる」ことは、相手の良い点を発見し、正しく評価することから始まる。
それが〝自分を見てくれている〟という信頼になる▼御書に「あまりに人が自分をほめる時は、
『どんなふうにでもなろう』という心が出てくるものである」(1359㌻、通解)と。「ほめる」ことは、
相手の秘められた力を引き出す原動力ともなる▼西村氏は、ほめる言葉「3S」を提案する。
「すごい」「さすが」「素晴らしい」。人の長所をみつめる〝眼〟を開き、自然にほめ言葉が口
をつくようでありたい。「ほめる人」が「育てる人」である。
~新聞のコラムより抜粋~