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ベテランから学ぶ

日米のプロ野球でベテランの活躍が相次ぐ。日本で46歳8カ月4日の中日・山本昌投手が

最年長先発勝利を飾ると、米国ではロッキーズのジェイミー・モイヤー投手が49歳151日で

大リーグ最年長勝利記録を80年ぶりに更新した▼モイヤー投手は一昨年に左肘を手術して

昨季は登板できず、2年ぶりの復活。球速は最速127キロで中学生にも及ばないが、巧みな

投球術には若手速球派にない“味”がある▼「成長」を手放さない限り、人は青春を生きられる。

71歳で日本史上最年長の五輪出場が確実な法華津寛選手(馬術)は、競技を続ける動機に「今

でも少しずつ自分がうまくなっている」ことを挙げていた▼一線級で活躍するベテランには、おしな

べて気取りがない。淡々としてみえる。“成功したい”“認められたい”という「他者の目」を基準と

した自己評価を卒業し、“もっと上達したい”“楽しみたい”という内面的価値を動機付けにしているか

らだろう▼『徒然草』に「万の事、外に向きて求むべからず。ただ、ここもと(自分の手もと)を正しく

すべし」(第171段)とある。目下の課題を見つめ、自分の信じた道をひたすらに、真剣に貫く。その

姿がそのまま、他者への励ましとなることを忘れまい。

新聞のコラムより