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みちのくの桜に 学ぶ

みちのくの桜は、これからが見頃。「古来、花王と称せられ、日本の国花とし、古くは『花』と

いえば桜を指した」(広辞苑)。これほど開花が待たれる花もないが、とりわけ、この春ほど東北

の桜を心待ちにした年もない▼岩手県釜石市の唐丹町本郷の桜並木が色づき始めたという。この

桜は昭和8年の三陸大津波からの復興を願い、その翌年に植樹された。以来、桜の名所と愛され、

三陸の春を彩る。だが、昨年の「3・11」の津波は、この桜並木にも被害を及ぼした。顔を上げて、

花を愛でる気持ちになれない春だった▼今年の開花は、人々の目にどう映るだろう。地元の同志は

「『試練を乗り越え、共に咲き薫りましょう!』と励まされる思いです」と。願わくは、咲く花に「希望」を

見いだしたい▼桜は前年の夏に花芽を作ると、一度、眠りに入る。その後、厳しい寒さという”試練”を

体験することで眠りから覚め、ぐんぐんと開花に向かう。これを「休眠打破」という。あの桜花爛漫の絶景

は、試練があったからこその美しさなのである▼「今は時!」と知るや、開花に全力を注ぐ。今を精いっぱ

いに咲く桜の木々のけなげさよ。その姿に学び、わが人生も自分らしく、忍耐強く、花開かせたい。

新聞のコラムより