今、組織の中で人材育成が喫緊の課題だ。
介護は入れ替わりの激しい業種。
10年選手を育てるだけでも夢のような話である。
僕はここ数年、若き介護スタッフたちを何人も迎え入れ、
そして見送ってきた。
誰もが入職時、目を輝かせ、意気揚揚と「頑張ろう!」と
胸に誓いながらも、その殆どは僅か5年を境に組織から姿を消している。
「組織の方向性についていけない!」
「待遇が悪い! アノ人と一緒はイヤ!」
そういう理由は、もはや手の施しようがないと言えるが
人間は良くも悪くも、色々な人や環境から刺激を受け、
自然と日々変化しているから、思想や考え方がその時々に
違っていたり、変わったりしていて当然であり、それが
人間の成長でもあるから、別に否定するつもりもない。
しかし、辞めていく彼らが本当に成長できたのか、
僕は大いに疑問を感じる。
組織にとって、人材教育は確かに重要課題。
だが、こうした発言を聞いていると、彼らの不満因子は
ハッキリ言って、彼らの職場環境にある。
管理者、そして同じ職場にいる上司・先輩、教育担当は
一体、日々どんな表情で、どんな姿勢で、言葉で彼らに
指導をしているのか?
子は親の背中を見て育つ。
親になってまでとはもちろん言わないが、せめて部下には
「ええ格好見せたれよ!」
「お前らを見て、奴らは育ってんだよ!」
大抵の人間は、数年経てば、その職場の色、上司・先輩の
色に染まっていく。
本当に組織が目指そうとする方向性や、考え方を上司・先輩が
理解し、彼らに示してやれば、前述したような発言は
生まれてはこないだろう。
魅力ある環境づくり、人づくりを、そこのリーダーは考え、
示してやらねばならない。
組織の中で、人が人を育てる最大のバイブルは、
組織の中で、自らが必要とされる生き方・姿勢を
相手に見せてやること。
そして組織として目指したい姿を、相手に望む姿を
自らの言葉で語ってやればよい。
皆さん、しっかり示してやってくれよ!